教員免許状は取得したいけど、正直言って教育実習はちょっと怖いですよね。
そんな教職志望の皆さんの心をちょっぴり和らげる記事です。
私も実習生の指導教員を何度か担当しました。
管理職として何人もの教育実習生を受け入れてきました。そんな現場サイドからの本音をお伝えします。
一番困ることは実習生が来なくなること
受け入れる学校が一番困ることがそれです。
レアケースですが、実習生が実習直前あるいは何日目かにギブアップしてしまうことがあります。
教育現場は確かに過酷です。マスコミでも報じられています。
しかし、教育実習生に難しい生徒指導や保護者対応をさせることはありません。
それらは、その学校の正規教員の仕事です。
また、実習生が担当する授業をゼロから自力で創りなさいなどと要求されることもありません。
朱書き入りの教師用指導書も渡されます。
じっくりと読み込んで授業を計画する時間はあります。
授業のための略案のサンプルや項目立ても、ちゃんと指導教員から示されるはずです。
はっきり言って、授業は誰でもできるのです。
実習直前は期待と不安からドキドキする日々を過ごすかもしれません。
むしろ「ワクワクする」と自分に言い聞かせるぐらいで臨みましょう。
実習のメインは見取り稽古と講話
実習での一番のストレスは授業だと思います。
しかし、実習生に経験させてあげる授業の回数は、昔に比べると圧倒的に少ないです。
第1週目は、配属学級や他学級の授業参観ばかりです。見取り稽古です。
また、学級事務の補助をします。丸付け、印刷、教材作りなどです。
子どもたちと一緒に遊んだり掃除をしたりもします。これも大事な現場経験です。
放課後には各種主任の先生方から講話をしてもらいます。
第2週あたりから、少しずつ授業をさせてもらいます。
授業する教科や内容は、各教科の単元の進捗状況にも関係するので、直前まで決まらないこともあります。
第2週目からの授業に関しては、じっくりと準備をして臨むゆとりはあります。
自信がなかったら、一通りの略案を作成して「これでいかがでしょうか」と指導教員の指導を受けます。
日誌には学びを素直に綴ればよい
実習生にとって最も大事な業務が日誌の記入です。
教員サイドの立場から経験する学校は、新鮮な発見の連続です。
それらを素直に日誌に綴っていきます。
授業を参観したり子どもと活動したり講話を聴いたりする際には、「日誌にはこれを書こう」という心がけでメモしていきます。
そうすると、毎日たくさんのメモが残ります。
そのうちのいくつかを日誌に詳しく書いていきます。
文章にする際のポイントは次です。
・箇条書きにする
・具体的に書く
・素直な感想を書く
日誌は外部に発行する文書ではないですが、誤字脱字が多いと恥ずかしいので、PCやスマホに一度入力してから手書きすると、二度手間のようですが効率的です。
「いい授業がしたい」は大いなる勘違い
実習生に「いい授業」を期待していません。
そもそも、何年教員をやっていても、授業には常に改善点が付きものです。
そういうものです。
厳しい目で分析すれば1つの授業に対して10個でも20個でも課題を示せるものです。
特に、教育実習生の授業では、以下の課題がよく見受けられます。
〇話しが分かりにくい(声が小さい、早口、しゃべりすぎなど)
〇子どもの活動時間が足りない
〇子どもの発言に対応できていない。
はっきり言って、学習内容以前の問題がほとんどです。実習中の授業での克服課題はそのレベルです。
でも、それが普通だと思っていいです。
だから、「いい授業をしよう」「学力を育てよう」などと、大それたことは考えないようにしましょう。
いい意味で「実習生にはいい授業は期待されていない」と言い聞かせて、心を楽にしてください。
子どもを叱るときは問いかけ型で
「教員としての自覚をもって子どもに接してください」と指導されます。
しかし、子どもを叱るべき場面に直面したら、ちょっと立ち止まる必要があります。
親や担任教師が叱責するように叱ってしまうと、子どもとの信頼関係が壊れてしまう場合があります。
実習生は教員の立ち位置ですが、子どもにとってはちょっと違う存在です。
「まだ先生ではないお勉強中の学生さん」という存在でもあります。
だから、子どもを叱るときには、その子に寄り添うような問いかけ型で接する方が自然です。
「それでいいかな?」
「そんなことしたら皆が困っちゃうかもよ?」
というアプローチで、その子にちょっと内省を促すような言い方をします。
「そんなことを言われたら、私も悲しくなるな…」と自分の心情を伝えるのも効果があります。
危険な行為やいじめ・人権に関わるような重大な事案の場合は、指導教員に確実に報告して対応を引き継ぐ必要があります。
まとめ
教育実習の目的は「今の教員の仕事や学校の雰囲気を実体験すること」です。
それ以上でも以下でもありません。
教員としての力量を伸ばすことは、教員になってからの仕事です。
教育実習はやる気さえあれば誰でも乗り越えることができます。
現場の学校の教員は、明日の学校を共に担う皆さんを宝のような存在と見ています。
どうか教育実習を恐れることなく、伸び伸びと取り組んでください。