日本の学校は超多忙。
さらに色々な問題も起こり教員が疲弊します。
どうしてそうなるのでしょうか。
武井敦史氏(静岡大学教職大学院教授)は、学校の働き方改革の方向性にも大きな原因があると的確に論じています(「教職教養」2024年9月号)。
業務細分化とマニュアル化の罠
学校の業務を細分化してリストアップし、1つ1つの業務をマニュアル化して、業務の効率化を図ろうとします。
それが多くの学校が採用する業務改善の中心戦略です。
しかし、そこに落とし穴があります。
この戦略を徹底しようとすると、教頭や教務主任や分掌主任などただでさえも忙しい中核教員の負担が増していきます。
結果として、学校運営のビジョンが見失われたり全体の調整機能が低下したりします。
学校の対応力が鈍化することがあります。
多忙化負のスパイラル
学校は分業体制や業務範囲が極めて曖昧な組織です。
個人や組織が役割を補い合ったり調整し合ったりして成立する組織です。
多忙化してくると、個々人が目の前の業務に集中して、組織全体の活動を滞らせない努力をして【タスクの分節化】が起こります。
すると、一人一人の【視野の狭窄化】が起こります。
そうなると、学校全体の理念や方向性が見えなくなる状態【ビジョンの喪失】に陥ります。
ビジョンの喪失がさらなる対応や調整が必要な事態を生み出し、「多忙化スパイラル」ができてしまいます。
さらに悪いことに
学校は生身の子どもが相手なので、日々想定外の事態が発生します。
突発的に保護者からも対応を求められることも多いです。
また、誰の分担か決められていない課題も日常的に発生します。
そうした臨時的な事案の対応も、結局は最も多忙な教頭や中核教員が関わらざるを得ない状況になります。
まとめ
業務の細分化とマニュアル化はある程度は必要です。
しかし、マニュアル化の手続きは、各分掌組織内で分掌主任が管轄できる範囲で進めるべきです。
マニュアル通りに仕事を進めることを基本としつつも、全体への提案や説明、確認はポイントのみを口頭で語るようにして、会議時間は限りなく縮小化します。
学校の組織運営においては、人による確認や調整の「進行管理」を罪悪視しないことが重要です。
また、中核職員は学校の経営理念を踏まえた業務点検に専念できるようにしたいです。
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