けんか等の人間関係トラブル。
それらを乗り越える経験を繰り返して、子どもたちは社会性やレジリエンスを身に付けていきます。
「白黒をつけて叱る」「両成敗」といった単純な指導の徹底では、子どもたちの心に禍根を残します。
巧みな教員はきめ細かい対応をします。
「絶対に謝らない!」
A君がB君に馬乗りになって乱暴していました。
A君は「絶対に謝らない!」と言っています。
そんなときは、両者別々に話を聞くべきです。
両者から同時に聞き取ると、興奮状態の口論となり収集がつかなくなります。
特に加害者と思しきA君には暴力に至った「強い動機」や「それなりの経緯」が必ずあります。
動機への共感があれば
別々に聞いてみたら、B君がA君を口でからかってじゃれ合いとなり、それがエスカレートしてA君が馬乗りになる状態に至ったとします。
A君に確認します。
「B君にからかわれてことがきっかけで、頭にきてちょっと乱暴してしちゃったのだな」
「ちょっと・・・しちゃった」という控えめな言い方をすると子どもは素直に認めやすいです。
大抵の場合、A君は素直にうなづきます。
「共感→指導→謝罪」が大原則
「でも、A君の方がちょっと乱暴が行き過ぎたよな。そこは謝れるよね」
動機が分かってもらえたら、A君も素直に謝ることができます。
そして、涙を浮かべて謝ります。
この時の涙は「くやしさ」と「先生に分かってもらえた安心」からの涙です。
先にA君が謝ってくれたら、B君も気持ちが収まります。
「でも、初めにからかったB君もちょっといけなかったよな」
と指導するとB君も謝るはずです。
ここまで丁寧に指導すれば、先に謝ったA君も救われます。
まとめ
結果的に両者が謝ったとしても、これは単純な「けんか両成敗」ではありません。
A君・・・「乱暴が行き過ぎたこと」の謝罪
B君・・・「原因をつくったこと」の謝罪
両者とも「自分の気持ちが先生に分かってもらえた」「自分の動機や謝意が相手に伝わった」という安心感があったので気持ちがすっきりします。
学校ではここまでをその日のうちに指導したいです。
保護者へも「けんかになったけど、自分の非を認めてお互いに謝れました。立派でした」とよい報告ができます。
そのように対応すれば、後々まで不満を引きずったり、保護者からのクレームにはなりにくいです。
コメント
大人から見て些細なトラブルのようでも、当事者の子供たちは分かってもらいたい部分があるのですね。そこに対応した指導ですね。勉強になりました。
相手が子どもだからと言って決めつけたり説教したりすることは、大きな間違いですよね。子どもにも意志や尊厳があることを忘れずに指導したいですね。