「教科書『を』教える」のどこが悪いの?

教員の仕事

「教科書『を』おしえる」のではない、「教科書『で』教える」のだ。
「教科書通りに工夫なく教えるのではなく、より深く教材研究をして授業に臨みなさい」という教訓です。
その教訓には一理あるとは思いますが、大いに異議があります。

教科書は最も優れた教材

「教科書『で』教える」の主張には、教科書を見下した姿勢が感じ取れます。
教科書は各出版社が時間をかけて社運をかけて編集したものです。
学習指導要領の内容を踏まえています。
その教科教育の専門家や先進的な実践者が関わってできています。
誤答分析や最新のトレンド、使いやすさや親しみやすも踏まえてできています。
内容に無駄も不足もありません。
そのうえ、その区市町村の厳正な教科書検討委員会の採択を経て決まったものです。
そんな優れた教材である教科書を超える授業をしなさいなんて、無茶なことを言ってはいけないと思います。

教科書からすぐに離れる悪い癖

たくさんの授業を見てきましたが、驚くことが多いです。
教科書の使い方が中途半端なのです。
我流のオリジナル資料や工夫したつもりの学習活動が、かえって授業を分かりにくくしているのです。 
教員が心がけるべきことは、まずはちゃんと教科書通りに教えることです。
「教科書『で』教える」を変に意識しすぎる教員が多いです。
教材研究段階ですぐに教科書以外の教材を取り入れようとしてしまいます。
教員自身が教科書の内容の理解が不足している授業がよく見受けられます。

教科書を深く教材研究する

なぜ単元の導入時にこの資料やこの場面を扱っているのか。
この写真が大きく掲載されているのはなぜか。
キャラクターのこの吹き出しには、どういう意図があるのか。
すべてに深い意味があります。
教員は、まずは教科書「を」よく理解しないと正しい指導ができません。
教材研究は、教科書を第一にしてしっかりやるべきです。

教科書「を」効果的に学習させる工夫は必要

「教科書『を』教える」ということは、ただ平たく読ませて「はい、分かりましたね」でいいということではありません。
・教科書のこの資料はプロジェクターで提示しよう
・教科書のこの部分には何分ぐらい時間をかけようか
・教科書のこの学習課題はグループで話合わせよう

そのように、教科書の内容を授業ではどのように扱うかは、十分に吟味すべきです。
それこそが教材研究です。

まとめ

教科書の内容「を」ねらいや意図を踏まえて教えることは、簡単ではありません。
そこをしっかりと教材研究します。
いかに教科書「を」効果的に教えるか。
授業者はそこにフォーカスすべきです。

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